日本を離れるとき年金を取り戻す方法 — 脱退一時金完全ガイド
このお金、放っておくと消えます
日本で働いて納めた厚生年金・国民年金の保険料 — 日本を離れたら捨てるお金だと思っている方が多くいます。 違います。出国後2年以内に請求すれば、最大5年(60か月)分を受け取れます。 これが脱退一時金の制度です。5年働いた会社員なら、数十万~百数十万円の規模になります。
受け取れる条件
- 日本国籍でないこと
- 年金の加入期間が6か月以上あること
- 日本に住所がないこと(転出届を出して出国)
- 出国日から2年以内に請求 — 時効があります
- 障害年金などを受けたことがないこと
- 加入期間が10年未満であること(10年以上だと老齢年金の受給対象となり、脱退一時金の対象外)
いくら受け取れる?
国民年金:最終納付年度の保険料 × 1/2 × 納付月数の区分係数(6~60)。税金はかかりません。
厚生年金:平均標準報酬額 × 保険料率(18.3%)× 1/2 × 区分係数。5年フルに働いた場合、おおよそ 平均月給の5.5か月分です。ただし支給時に20.42%が源泉徴収されます — しかしこの税金、かなりの 部分を取り戻せます。(次のセクション)
誰も教えてくれない第2段階:源泉徴収20.42%の還付
脱退一時金は税法上「退職所得」として扱われます。退職所得には勤続年数 × 40万円の控除があるため、 ほとんどの場合本来の税額はゼロに近く、源泉徴収された20.42%の大部分が還付対象です。
手順:① 出国前に税務署へ納税管理人の届出(日本にいる知人・専門家を指定) ② 脱退一時金の受領後、納税管理人が「退職所得の選択課税」の確定申告 ③ 還付金の受領。 納税管理人を頼める人がいない場合は、有料の代行サービスもあります。
国籍によって結論が変わります
脱退一時金を受け取ると、その加入期間は社会保障協定の通算対象から消滅します。日本と期間通算のある 協定を結んだ国の国籍の方は、自国の年金と合算して受給権を作れる場合、受け取るとかえって損になることが あります。逆に通算条項のない国・協定のない国の国籍なら、受け取りが実質的に唯一の回収手段です。
| 国籍 | 日本との社会保障協定 | 脱退一時金の判断 |
|---|---|---|
| 韓国 | 協定あり、通算条項なし | 10年未満なら受け取りが有利な場合が多い |
| 中国 | 協定あり(2019)、通算条項なし | 韓国と同じ考え方 |
| ベトナム・ネパール・インドネシア・ミャンマー | 協定なし | 脱退一時金が事実上唯一の回収手段 |
| フィリピン | 協定あり(2018)、通算あり | ⚠️ 受給で通算期間が消滅 — 比較してから決める |
| ブラジル | 協定あり(2012)、通算あり | ⚠️ フィリピンと同様 — 受給前に通算シナリオの比較必須 |
| アメリカ | 協定あり(2005)、通算あり | ⚠️ 同様 |
請求方法のまとめ
- 出国前:転出届(住民票の除票)+ 納税管理人の届出(還付まで受けるなら)
- 出国後:日本年金機構に脱退一時金請求書を提出。添付書類は4種 — ① パスポートの写し(氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格のページ) ② 日本に住所がないことを確認できる書類(出国前に転出届を出していれば原則不要。 ただし2012年7月以前から年金に加入していた場合は住民票の除票などが必要) ③ 受取口座を確認できる書類(銀行名・支店・口座番号・本人名義 — 海外口座も可) ④ 基礎年金番号を確認できる書類(年金手帳または基礎年金番号通知書)
- 書類に不備がなければ受付から約4か月後に指定口座へ入金(日本年金機構の公式基準)
- 納税管理人経由の確定申告で源泉徴収分の還付
受け取ったお金は、為替を確認してから送金を
脱退一時金は円で支払われます。受領後に母国へ送金する際は、為替レートと送金手数料を比較して タイミングと手段を決めましょう。Japanizenの計算機の為替表示で現在のレートを確認できます。